『ヤコブの手紙』の内容は、非常にユダヤ的だと言われます。また非パウロ的だともいわれます。それは一見するとパウロの信仰義認の立場ではなく、行いが重要とこのヤコブの手紙は記しているからです。ヤコブの手紙について宗教改革者ルターは、この書を「わらの書」と評しました。著者の問題やイエス・キリストの贖罪についてあまり書かれていない、処世訓のような文体、何より「信仰による義」ではなく「行いが大切」と、使徒パウロの主張に反対しているように書かれているからです。しかし、主イエス様は言われました「互いに愛し合いなさい」と。まさに信仰とは、主イエス様の言葉を守り行うことです。ですから、このヤコブ書は、より具体的・実践的に書いているともいえるのです。私たちはただ主イエス様の言葉を信じるだけで天の国に続く道、永遠の命が約束されている。そのような私たちだからこそ、私たちは神の愛に感謝し、主イエス様が何よりも大切な掟として遺された、神を愛すること、隣人を愛することを守り行うのです。
「離散している12部族の人たちに」つまり異邦人の土地に住むユダヤ人クリスチャンに対して、律法によっては救われないが、律法の中にも神の言葉が生きており、そのバランスをとることの大切さを、ヤコブ書は語っています。
それは料理で言えば、スパイスのようなものだと思うのです。スパイスが強すぎれば、食べられるものではありませんが、しかししっかりとスパイスがきくことによって、料理の味は何倍にもおいしくなります。ヤコブ書は全部で5章しかない短い文章ですが、私たちの信仰を問い直す言葉が記されています。まっすぐに見つめ直せば信仰の成長になるでしょう。そのことに期待してこれから読み進めていきましょう。