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7/14 礼拝メッセージ「詩編を味わう① 嘆きを踊りに」

 先日、『なぜ人は歌を歌うのか』というTV番組を見ました。色々な意味で人間社会に歌が重要であることを伝えていた番組でした。最新の研究では、認知症治療に音楽の有効性が実証されたそうです。それほど、歌や音楽が人に影響を及ぼす理由は、社会性すなわち絆を確認し合うためであると語られていました。

 

 今日の詩編30編も、1節に「賛歌。神殿奉献の歌。ダビデの詩」とあり、もともとは歌のようなリズムやメロディーが付けられていたのではと考えられます。詩編全150編のうちの73編に「ダビデの詩」という注が付けられていますが、現代の研究では73編全てダビデが作ったものではなく、「ダビデに献上された」「ダビデを偲んで」「ダビデの指示によって」という意味で、「ダビデの詩」と記されていると考えられています。

 

 ダビデは、初代の王サウルに次いで王として選ばれました。彼は、主なる神に忠実で、竪琴を弾き、歌を歌うような才能の持ち主でしたが、時に人間的な過ちを犯し、主から罰を受けました。ダビデは自らの欲望で人口調査をした時(サムエル記下24章)、預言者ガドから3つの選択肢を示され、結局3日間の疫病の流行を選び、ユダヤ全土で7万人が死にました。今日の詩編30編は、重病を癒された人の感謝の歌です。ですから、この3日間の疫病の流行の後に疫病の流行が収まり、ダビデが主なる神に感謝を献げたものなのかもしれません。

 

 私たちも、3年に及ぶ新型コロナウイルスの世界的流行を経験しました。何もない平穏な時には、神様を信頼できても、いざ思いがけない困難に直面すると途端に信仰が揺らいでしまうのです。

しかし、そのような絶望の淵に立った時、私たちは自分の全存在をかけて神様と本当の意味で向き合えるのです。そして、呼び求める声に主は応え12節「嘆きを踊りに変え」て下さるのです。