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9/1 礼拝メッセージ「本当に重要なこと」

 フィリピの信徒への手紙を記したパウロは、獄中でこの手紙を書きました。この獄中とは、これまでローマ滞在時の軟禁生活だとされてきましたが、最近の研究では、アジア州の首都エフェソであるという説が有力です。フィリピはパウロが第2回伝道旅行で初めてヨーロッパ伝道を行った記念すべき町です。ここでパウロはリディアという女性と出会い、やがてこのリディアの家の教会がフィリピ教会となり、パウロの伝道活動を支援する教会となりました。使徒パウロは、死をも覚悟しなければならない獄中の中で、新たな課題に直面していたフィリピ教会の人々について思い、手紙を書き送ったのです。

 

 フィリピの教会は、パウロが去った後、ユダヤ人の使徒を名乗る人々から割礼や食物規定を含む、律法の遵守を命じられたのです。パウロにとって、律法は彼のアイデンティティそのものでしたが、主イエス・キリストとの出会いにより、全く意味をなさないものになりました。ですから、パウロは9節で「私はこう祈ります。知る力と見抜く力とを身に着けて、あなた方の愛がますます豊かになり、本当に重要なことを見分けられるように。そしてキリストの日に備えて、清い者、とがめられることのない者となり」というのです。

 

 私たちにとっても、この「本当に重要なこと」は重要です。キリスト教と一口に言っても、教団・教派によってだいぶ教えの強調点が違うのです。今LGBTQをめぐる問題でカトリックもプロテスタントも教団・教派を問わず論争が起きています。私たちもまた、このパウロの「知る力と見抜く力とを身に着けて、あなた方の愛がますます豊かになり、本当に重要なことを見分けられるように。」という祈りに耳を傾けなければならないのです。

 

 最後に、フィリピの信徒への手紙は、全部で4章しかない短い手紙ですが、現代に生きる私たちが忘れがちな「本当に重要なこと」すなわち、主イエス・キリストによって喜ぶことを教えてくれるでしょう。その再発見を楽しみにしたいと思います。