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12/22 礼拝メッセージ「悲しみの中でのクリスマス」

 ヘロデ王をしてベツレヘム近辺の2歳以下の幼子を殺させたのは、ヘロデの心の

中に生じた「不安」だったと聖書は伝えます。私たちの心の中にある不安感は、結

果的に軍備増強に進ませ、決して根本的な解決にはならない。ですから、そうした

考え方の枠組み自体を捨て、別の新しい生き方が求められているように思います。

預言者イザヤは「剣を鋤に、槍を鎌に変えなさい」というメッセージを語り、続け

て、「もはや、戦うことを学ばない」とも言い切りました。その後預言者ゼカリヤ

はイザヤから平和のバトンを受け継ぎ、「万軍の主はこう言われる。エルサレムの

広場には/再び、老爺、老婆が座すようになる/それぞれ、長寿のゆえに杖を手に

して。都の広場はわらべとおとめに溢れ/彼らは広場で笑いさざめく。」(ゼカリヤ

書8:4-5)と平和の中身をそう表現しました。考えてみれば、ごく普通の日常

ですが、でも当たり前に見える風景が今、パレスチナやウクライナにおいて、いや

日本社会においても普通ではなくなって来ているように思います。

 

 飼い葉桶に誕生したイエスさまは、大人になり、人々に向かって平和を語ったの

です。「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる」。

「神の子」とは神さまの愛を知っている者のことです。私たちは愛される経験をす

る中で愛の人に変えられていきます。人に優しくされ、人として尊重されていく時、

不思議と人に対して優しくなれる。人を大切にする人になっていくものです。

でも逆に、おどされ、恐怖心をあおられ、力で抑えつけられれば、心は卑屈にな

ります。最初は我慢していますが、「今に、見てろよ」と復讐心や敵意を心の内に

燃やすことだって起こるのです。今、私たちの住む世界は、正にこの報復の連鎖に

巻き込まれています。神さまは、この悪の連鎖を断ち切るために独り子イエスさま

を飼い葉桶に誕生させてくださったのです。そのイエスさまを心に迎え入れること

によって、私たちの内面に神の愛、神から来る平安で満たそうとされたのです。今

年のクリスマス、御子が与えてくださる、この平安で、私たちの心を満たしていた

だきたいと願います。