パウロはしばしばその手紙の中で「完全な者」という言葉を使います。(コリ
ントの信徒への手紙Ⅱ13:11、コロサイの信徒への手紙1:28など)私たちは完
全な者というと、あまりに自分が信仰的に不完全であることから、気後れして
しまうのですが、パウロが言う完全な者とは 13-14 節「なすべきことはただ一
つ、後ろのものを忘れ、前のものに全身を向けつつ、神がキリスト・イエスに
よって上へ召して、お与えになる賞を得るために、目標を目指してひたすら走
ることです。」これがパウロの言う「完全な者」に至る生き方なのです。
パウロは苦しい牢屋生活の中でフィリピの教会の人々に、親しみを込めて
「兄弟たち」と語りかけ「私に倣いなさい。真似なさい」と言いました。スポ
ーツや習字でも良い手本に倣うこと、真似ることによって上手になるのです。
そのポイントは
① 地上の価値観に縛られない(3:20)
② キリストの再臨を待ち望む(3:20–21)
③ 主にあって堅く立つ(4:1) です。
18節では、「敵対しているものが多い」と警告もなされています。しかし、
「私たちの本国は天にあります。」とパウロは宣言します。私たちはいわば、本
国である神の国から遠く離れた、異邦の地で生まれ育った者、もしくは居留者
として主イエス様という救援を、教会という避難所で待つばかりなのです。そ
して21節で言われているように主によって天の御国に入るにふさわしい体に
変えていただかなければ、誰も入ることは出来ません。
「私だけ天国に入れていただけないのではないか」などと急に確信が持てな
くなってしまう悪魔のささやきに、『告白』の著者、アウグスティヌスが「自分
から目を離し、神を仰ぎなさい。」と記したように自分の内にある罪に目を留め
るのではなく、主の十字架によって清められていることを信じ主が再び来たり
たもう日まで主を仰ぎ、主の内にしっかりと立ちましょう。主を賛美し、喜び
つつ伝道や交わりをしてパウロに倣うものとなりましょう。